詩「白い花」

白い花


ちらちらとミズキが
絶え間なく散っていく
その傍から白い花びらは蝶になり
ひらひらと羽ばたいていく


道端の白い花を集めて
君に会いに行こう


柔らかな風吹く部屋の中
君が静かに息をしている
花束でそうっとその頬を撫ぜれば
花がほうっと色づいた


インクを零したように
白い花が朱に染まる
伸びやかに香りが溢れ
僕の粘膜を刺激する


ぱたぱたと零れる水が
僕にいろいろなことを悟らせた
慌てて僕はもう一度
花で君の頬を撫ぜるけれど
花は見る間に枯れてゆき
君の頬は青ざめていく


蝶にも花にもなれず
君から命が羽ばたいていく