想色抄

白いリアル

しかばねいろのはなが ろっこつのすきまからさいた いきをふさぐように ゆめからさめたあたしは めにうつるすべてをほうきして にぶったきょうきにとりみだす のきしたからあふれるのは まじりけなしのしろいほね れもんをしぼってかじってみれば るるら また…

詩「噤む朱」

噤む朱 (「白い花」/作 セシルへの交換詩です) その朱は苦かった その朱いつぼみは苦かった 食べ物じゃないから にがいと云いながら食むわたしに あの子は云った 例年通り 花の季節の次には光の宴の皐月 そして雨期が訪れ大地は湿り 私は時を遡る 記憶の波…

詩「白い月」

白い月 海の向こうで戦争があった 戦火は僕の国になんの被害ももたらさなかったけれど 君の事を毟っていった 果てなんて言葉 無意味なほど 切れ間なく続くあの空 陶酔に沈む意識のような白い月が 清く明るい幻想を一瞬 見せてくれていた 君の脳髄を銃弾が駆…

詩「白いわずらい」

白いわずらい 今日はあんなにも重く雲が垂れ込めているのに 空は果てなく白く眩しくて 君を思い出したんだ 君の白い肌や 深い闇色の目 世界に蔓延るあらゆるすべてを拒んだ唇 僕は今も 君以外に純潔なものなどないと思っているよ そして君をなぶり辱めるしか…

詩「白い花」

白い花 ちらちらとミズキが 絶え間なく散っていく その傍から白い花びらは蝶になり ひらひらと羽ばたいていく 道端の白い花を集めて 君に会いに行こう 柔らかな風吹く部屋の中 君が静かに息をしている 花束でそうっとその頬を撫ぜれば 花がほうっと色づいた …

詩「白い、」

白い、 真夜中 色温度の低い蛍光灯の下 嘔吐く 偽物の明るさの中 肺から込み上げるのは白い何かばかりで 私はうまく考えられない (昔から 白 は嫌いだった) 透き通れない悲しみが 白濁したエゴが それでも何か もっと素敵なものになりたくて 私の肺を灼い…