2009-05-01から1ヶ月間の記事一覧

Quiginu#4「 花の宴」

掻き乱して 抉り出して 睨み付けて 火を点けて いいえ、嘘なのよ、灯が欲しかっただけ。 鮮やかだった夕映えももう、 青い影を引き擦り落として、夜空が躰に溜まるから。 ほぉらまたひとつ傷付いた。 ほぉらまたひとり逃げてった。 流れゆく、ものはみな、失…

詩「ギャンブル」

ギャンブル(テーマ提供:クロラ) 東あれ だからそちらが東となった 赤であれ そして賽子の目は壱が出た そうして勝ち上がってきたのさ、と 彼は乾いた笑みで見下す この勝負に負けていたら おまえはいなかったのさと云う 笑い男、の飼っているサカナ、に水…

Quiginu#3「元素シルエットロマン」

影ばかり動いている実体を持たない存在と 存在を持たない実体の差を述べなさい それは何色をしていますか? 何色を、していますか? 微睡むタナトスニヒリズム けれどもリチウムストロンチウム 私を生かすのはナトリウム どうぞ電解して下さい

詩「白いわずらい」

白いわずらい 今日はあんなにも重く雲が垂れ込めているのに 空は果てなく白く眩しくて 君を思い出したんだ 君の白い肌や 深い闇色の目 世界に蔓延るあらゆるすべてを拒んだ唇 僕は今も 君以外に純潔なものなどないと思っているよ そして君をなぶり辱めるしか…

詩「春鬼 (2)」

春鬼 (2) * 女は覚悟が良くて/私などより見事に散らかる。/心も足も曝して見せる。/彼女を散らかしたのは/私であった。/その私が目を逸らし/女が真直ぐ/見詰めるものがある。*1 春がきた。 重たい赤ん坊を 背負 ( しょ ) うように 白い薄手のシャ…

詩「保護膜の部屋」

保護膜の部屋 せんせい、わたしの鉢植え、びょうきなんです 水をやっても幾度飲ませても 吐きこぼしてしまうのです 少女は自分の髪を切った 落ち続ける黒髪は艶やかで 床の木目模様を更に鮮やかに、する この部屋には水をやらなければなりません せんせい、…

Quiginu#2「銀河占有」

ミルキーウェイ / 摩耗する / ほそく削ぎ落としてゆく / 始まり / 撃ち落とす宵の明星 / 流れ星の軌道を計算 / すぐに示唆 / 或は監査 / トゥ イット トゥ イット ソー ゴナヘッド!/ 歩き出す椅子 / 挙動不審な映写機 / 繊細に触れる仙人掌 / そして始まる…

詩「白い花」

白い花 ちらちらとミズキが 絶え間なく散っていく その傍から白い花びらは蝶になり ひらひらと羽ばたいていく 道端の白い花を集めて 君に会いに行こう 柔らかな風吹く部屋の中 君が静かに息をしている 花束でそうっとその頬を撫ぜれば 花がほうっと色づいた …

詩「立ち枯れ、後」

立ち枯れ、後 それが、やさしいはずはない 水を浴びせられる植木のように つんと上を向いて待っている少女 断ち切られる黒い髪は むなしく踊るように落ちる 床とは、 ただあたりまえの木目 その上に生卵を置く 殻を割って中身を置いた 黄身と白身がとろんと…

夢日記17

魚たちも 泳ぎ手たちも 船も/水のかたちを変える。/水はやさしくて 動かない/触れてくるもののためにしか。 (ポール・エリュアール「魚」より、安藤元雄訳) とても長かった旅行からしばらくぶりに戻り、実家に立ち寄る。家には誰もいないようで、お腹が…