詩「保護膜の部屋」

保護膜の部屋


せんせい、わたしの鉢植え、びょうきなんです
水をやっても幾度飲ませても
吐きこぼしてしまうのです

少女は自分の髪を切った
落ち続ける黒髪は艶やかで
床の木目模様を更に鮮やかに、する

この部屋には水をやらなければなりません
せんせい、そうですよね
この部屋には栄養をやらなければなりません
せんせい、合っていますか

少女は独り食事を済ませる
部屋はその栄養分だけ豊穣になる
緑黄色色素が壁に模様付け
食物繊維が絨毯を織り上げ
蛋パク質が部屋を包み込む

せんせい、ここに居れば安全なのですよね
せんせい、鉢植えにもう一度水をやります
せんせい、わたしは何処にいるんでしょう
せんせい、外の煙を吸うとまだ危険ですか


「宣誓、ワタクシハ生キ存エルコトヲ、堅ク決意致シ升
  ××年晦日