詩「白いわずらい」

白いわずらい

今日はあんなにも重く雲が垂れ込めているのに
空は果てなく白く眩しくて
君を思い出したんだ
君の白い肌や
深い闇色の目
世界に蔓延るあらゆるすべてを拒んだ唇

僕は今も
君以外に純潔なものなどないと思っているよ
そして君をなぶり辱めるしかなかった
この愚かさを忘れたことも無い

刻み付けた傷は今も残っているか
抉った傷口はまだ乾かず 血の臭いを吐いているか
欲望の繁殖したこの躯じゃ君に触れられず
欲望に汚染された心で 君を愛せるはずもなく
赤く染まった掌だけが虚しく僕にぶら下がっている

僕の君への執着は愛から遠く渇望に似て
君の名を呼びたさに喉が張り裂けそうだ
けれどあの滅菌された真っ白な空が
僕から伸び育とうとする魔性を残らず潰してしまうから
這いずるように 彷徨うように
記憶に灼けついた君を繰り返し反芻して
君の事だけを想っている