詩「白い月」

白い月

海の向こうで戦争があった
戦火は僕の国になんの被害ももたらさなかったけれど
君の事を毟っていった

果てなんて言葉 無意味なほど
切れ間なく続くあの空
陶酔に沈む意識のような白い月が
清く明るい幻想を一瞬 見せてくれていた

君の脳髄を銃弾が駆け抜けたのは
きっとそんな瞬間だろう

銃声は君の意識を連れ
宇宙へと辿り着いたに違いない

今夜もまた 白い月が昇る
一瞬の甘い夢幻を
僕の心にもたらすだろう

君の視線を感じるよ
君の心を すぐ傍に
あの白い 強い 月明かりから

だからほら 僕は今日も元気だよ