白い月
海の向こうで戦争があった
戦火は僕の国になんの被害ももたらさなかったけれど
君の事を毟っていった
果てなんて言葉 無意味なほど
切れ間なく続くあの空
陶酔に沈む意識のような白い月が
清く明るい幻想を一瞬 見せてくれていた
君の脳髄を銃弾が駆け抜けたのは
きっとそんな瞬間だろう
銃声は君の意識を連れ
宇宙へと辿り着いたに違いない
今夜もまた 白い月が昇る
一瞬の甘い夢幻を
僕の心にもたらすだろう
君の視線を感じるよ
君の心を すぐ傍に
あの白い 強い 月明かりから
だからほら 僕は今日も元気だよ