夢日記

夢日記20

鳥の黄色い/嘴のように固い/口笛が/ひろげた傘の中で反響して/とても重苦しくて/朝の気分を/タイヤのように踏みにじっていく//丘の頂上に水牛があらわれて/大きなあくびをしている/ぼくはあふれかえるくしゃみを/噛み殺して歌を歌った (西岡健太…

夢日記19

「わたしを壊せ」/というぼろぼろの犬の声が/山から地上へと/わたしへと/一直線に吹き下りてくるとき/幻の山道をのぼっていく/愛のような/みずみずしい敵意の切っ先に出会うために (小池昌代「敵意」より) 辺りは夜で、細い石畳の道にはぽつぽつと…

夢日記17

魚たちも 泳ぎ手たちも 船も/水のかたちを変える。/水はやさしくて 動かない/触れてくるもののためにしか。 (ポール・エリュアール「魚」より、安藤元雄訳) とても長かった旅行からしばらくぶりに戻り、実家に立ち寄る。家には誰もいないようで、お腹が…

夢日記22

ぼくは友だちに言う/すばらしいことはみんな夢の中で起った/ぼくらはそれを思い出せないで暮らしている/一篇の詩/ぼくらの苦しみでは創り出せない詩/それを思い出そうとしてぼくは歩いている/ぼくの沈黙を許したまえ と (辻征夫「沈黙」より) 蕎麦屋…

夢日記14

ぼくの夢は普通戯画的な秩序に従っているとぼくは言った。夢はぼくを告発する。ぼくの性質にあって修正不能なものをぼくに教えてくれる。ぼくの改めようとしない体質的欠陥を強調してくる。それはぼくもうすうす感じていたものだ。夢は、行動や寓話や談話の…